診断と治療社発行の脳と発達[第57巻4号]において、当センター小児科医師の論文が掲載されました。
原著論文
一療育センターにおける62年間の入所者死亡原因の変遷
中村由紀子,高橋美智,河野千佳,萩田美和,久本佳美,久保田雅也
要旨
【目的】一療育センターにおける62年間の入所者の死亡原因の変遷を検討する.
【方法】1961年5月から2022年12月までの死亡退所者216名について死因と死亡年齢を後方視的に検討した.死因について疾患別に分類し,在院年代別の死因の変遷を評価した.
【結果】62年間での入所者の死亡例は216例であり,死亡数と年齢中央値はそれぞれ1960年代50例,5歳,1970年代31例,10歳,1980年代38例,13.5歳,1990年代35例,17歳,2000年代26例,22歳,2010年代31例,49歳,2020年代5例,50歳であった.全体の疾患別死因は呼吸器疾患114例(51%),循環器31例(14%),消化器12例(5.6%),腎泌尿器5例(2.3%),中枢神経8例(3.7%),感染症15例(6.9%),悪性腫瘍20例(9.3%),その他11例(5.1%)であった.1960年代の死因の割合は呼吸器64%,循環器14%,感染症6%,悪性腫瘍4%の順であるのに対し,2010年代では呼吸器23%,循環器19%,悪性腫瘍16%,感染症13%と呼吸器疾患の減少と悪性腫瘍の増加がみられた.
【結論】重症者施設入所者の高齢化に対して悪性腫瘍の早期発見が今後の課題である.
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脳と発達 Vol.57 No.4
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