見て、聞いて、触れて、嗅いで、味わって…

2014年8月1日ことば

日々、お子さんの指導にあたっていると、

「おうちでどんなことしたらいいですか?」というご質問を沢山いただきます。

せっかくブログを書かせていただいているので、

今日は“おうちでしかできないこと”をお話させて頂こうと思います。

カードや絵本で「りんご」「りんご」とことばを教えて、

平面的な絵に描かれたりんごは分かっても、

本当の意味で「りんご」を知っているとは言えません。

ことばを本当に獲得していくためには、

実際に見て、聞いて、触れて、嗅いで、味わって

それが何たるかを学ぶことが大切です

では具体的にどうやって…?

難しいことではありません、お母さんが毎日していることでいいのです。

 

例えばスーパーでお買い物

 

「りんご取ってきて~」とりんごを探して手に取らせます

「まるいね」「赤いね」「コンコンって音がするね」

「こっちは梨だね、りんごに似てるね」「いちごも赤いね、おんなじだね」

「すいかはりんごより大きいね!」など、りんご一つでお子さんといろんな話ができます。

 

おうちに帰って、「りんご洗おうね」「包丁で切るね」

「するするする~」と皮をむき、ママと一緒に食べる

「しゃりしゃりだね」「かたいね」「中はしろいね」「おいしいね」と

味わって、ママと気持ちを共有することができます

 

「りんご食べたね」「赤かったね」「おいしかったね」と後でりんごの絵を描いてあげてもいいかもしれません

 

こんな楽しい経験をしたら、「りんご」ってことばも、

りんごに関わる沢山の情報も記憶に刻まれ、

頭の中の引き出しにしまっておけるのではないでしょうか

 

それから、鮮魚売り場では…

切り身ではなく、一尾丸ごとの魚も売っています。

「さんま、細長いね」「いわし、いっぱい売ってるね」

「○○くんの好きなマグロ、こんなに大きいお魚なんだよ」

「お魚のうろこ、光ってるね

食卓に出てくる魚料理が「(泳いでいる)さかな」だということを知らないお子さんが時々います。

 

興味が出てきたら、お父さんと川や池にお魚を見に行くのも良いですし、

ペットショップで熱帯魚を見ても良いと思います

「これは食べられないお魚だね」「きれいな色だね」など

スーパーの魚との違いを確かめてみても面白いですね。

 

大事なのは、お子さんの目線で。

お母さん自身が楽しめること。

だから、毎日じゃなくていいと思います。

ささっと買い物を済ませたい日もありますよね

 

特別な教材を買ったり、わざわざ遠くへ出かけなくても、

お母さんの家事仕事はお子さんにとっては、とても魅力的です。

ぜひ、一緒にやってみせてあげてください

 

 

参考文献:

「1.2.3歳ことばの遅い子 ことばを育てる暮らしの中のヒント」 中川信子著 ぶどう社

「ことばの遅れのすべてがわかる本」中川信子監修 講談社

執筆者 言語聴覚療法科 志村

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